1つの部位を、週に何セットやればいい?セット数の考え方
ベンチプレスを3セット終えたところで、ふと手が止まる。「あと1セットやるべき?それとも、もう十分?」ジムで一度は頭をよぎる、あの迷いです。
先に結論
セットが多いほど筋肉は大きくなりやすいですが、増え方はだんだん小さくなります。1つの種目で、1セットだけより、複数セットのほうが有利という研究が多いです。1つの種目で、2〜3セットと4〜6セットを比べた分析では、有意な差は確認されませんでした(効果が同じだと証明されたわけではありません)。このため、1つの種目では、まず2〜3セットあたりから考える、というのが私の読みです。
「何セットやればいいの?」にも、研究から言えることがあります。結論は「多いほど良いが、増え方はだんだん小さくなる」です。
で、実際のところどうなの?
先に、セット数の2つの数え方を区別します。研究で使われている数え方が、違うためです。
- 1つの種目あたりのセット数:たとえば、ベンチプレスを何セットやるか。2010年のまとめが、この数え方です。
- 1つの部位の、週の合計のセット数:その部位を鍛える、すべての種目・すべての日を合計した数。2017年と2026年のまとめが、この数え方です。
1つの種目あたり(2010年のまとめ) - 1セットよりも複数セットのほうが、筋肥大の指標が大きい傾向があります。 - 2〜3セットと、4〜6セットを比べると、統計的に有意な差は確認されませんでした。これは、「4〜6セットが、2〜3セットより優れていることは、確認できなかった」という意味で、効果が同じだと証明されたわけではありません。「やみくもに増やしても、その分だけ伸びるとは限らない」と読むのが、現実的です。
1つの部位の、週の合計(2017年・2026年のまとめ) - 週の合計が多いほど、筋肉の増え方が大きい傾向があり、増え方は、だんだん小さくなります。 - 研究の条件(種目、休憩の長さ、どれだけ追い込むか)で結果が変わるので、「週◯セットが正解」とは言い切れません。
じゃあ、今日からどうする?
ここから先は、研究の結論ではなく、研究を読んだうえでの私(運営者)の整理です。
- 時間が限られる日は、1つの種目で、まず複数セットを確保するのが現実的です(1つの種目で、2〜3セットあたりから考える、というのが私の読みです)。1つの部位に、複数の種目を行う場合は、週の合計は、それより多くなります。
- 回復できる余力や、続けやすさも大事です。無理にセットを増やして、続かなくなっては意味がありません。
根拠が気になる人へ:研究の中身
- 2017年のまとめ:1つの部位の、週の合計のセット数と、筋肉の増え方の関係を、15件の研究(34の群)で調べました。1セット増えるごとに、筋肉の増加率が0.37%ずつ大きくなる、という推定でした。量が多い群と少ない群では、3.9%の差でした。これらは、研究全体から出した、統計的な推定値です。あなたが、セットを1つ増やしたときの、筋肉の増加量を、直接予測する数字ではありません[1]。
- 2010年のまとめ:1つの種目あたりのセット数を比べた、8件の研究のまとめです。複数セットは、1セットより、筋肥大に関する効果量(効果の大きさを表す指標)が約40%大きいとされました(筋肉の増加量が、40%多いという意味ではありません)。2〜3セットと4〜6セットの間には、有意な差が確認されませんでした。傾向としては、セット数が多いほど、効果量は大きい方向でしたが、有意な差ではありませんでした(効果が同じだと証明されたわけではありません)[2]。
- 2026年のまとめ:週あたりの量(セット数)が多いほど、筋肥大も筋力も増えますが、どちらも増え方はだんだん小さくなり、筋力のほうがその傾向が強いとされています[3]。
- 2023年のまとめ:筋肥大で上位だった条件に「複数セット」が含まれていました[4]。
ちょっと注意(この記事の限界)
- 調べた研究の対象は、主に健康な若い成人です。
- 「1セット」の中身(重さ、回数、追い込み方)は、研究ごとに違います。
- 「1つの種目あたり」と「1つの部位の、週の合計」は、別の数え方です。研究ごとに、数え方が違うため、数字を、そのまま比べることはできません。
- 「0.37%」「3.9%」「約40%」などは、研究全体の統計的な推定値や指標で、個人の筋肉の増加量を、直接予測するものではありません。
- 「有意な差が確認されなかった」ことは、「効果が同じだと証明された」ことでは、ありません。
- この記事は、論文の要旨(概要)を確認して書いています。本文の隅々までは読んでいません。数字は、要旨に書かれていたものだけを使っています。
参考文献
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass: A systematic review and meta-analysis. J Sports Sci. 2017. DOI: 10.1080/02640414.2016.1210197. PubMed
- Krieger JW. Single vs. multiple sets of resistance exercise for muscle hypertrophy: a meta-analysis. J Strength Cond Res. 2010. DOI: 10.1519/JSC.0b013e3181d4d436. PubMed
- Pelland JC, et al. The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains. Sports Med. 2026. DOI: 10.1007/s40279-025-02344-w. PubMed
- Currier BS, et al. Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis. Br J Sports Med. 2023. DOI: 10.1136/bjsports-2023-106807. PubMed