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パワーグリップ(リストストラップ)は必要?効果の研究

公開日 2026-10-09/最終更新 2026-10-09/執筆・編集 ちくお(ジムに戻った会社員)

デッドリフトで、背中や脚はまだ余裕なのに、握力が先に終わる。「もう手が持たない!」となった経験、ありませんか。

先に結論

デッドリフトでストラップを使うと、握力の疲れが小さい、握りの安心感が高い、回数が増えた、といった結果が、小さな実験で報告されています。一方、2026年のレビューは、背中を引く種目での効果は一貫していないこと、長期の筋肉の増え方については、科学的な根拠がまだないことも述べています。握力が先に限界になる人には、デッドリフトのセットを続けるための手段として、検討できます。

デッドリフトなどで、背中や脚の前に、握力が先に尽きてしまう。そんなとき、手首に巻くストラップは役に立つのでしょうか。

用語メモ:研究で調べられているのは、lifting straps(リフティングストラップ、手首に巻くストラップ)です。日本で「パワーグリップ」と呼ばれる、手のひら側のパッドにベルトが付いた形のものとは、形が違う場合があります。研究の要旨からは、使われた製品の形までは確認できませんでした。そのため、研究の結果が「パワーグリップ」にそのまま当てはまるかは、分かりません。

で、実際のところどうなの?

  • 男性16人の実験:「ストラップなし」「ストラップあり(同じ重さ)」「ストラップあり(重さを増やす)」の3つの条件で、デッドリフトを比べました。ストラップありの2条件では、握力の疲れが小さく、握りの安定感や、パワーを出せる感覚の自覚が高くなりました。きつさの自覚が低かったのは、「同じ重さ」の条件でした。バーの速度は、同じ重さで比べた条件では速かった一方、重さを増やした条件では、ストラップなしより遅くなりました。つまり、「ストラップを使えば、速度が上がる」とは言えず、条件によって結果が違いました。
  • 女性10人の実験:1RMの80%の重さで、できるだけ多く行いました。ストラップを使うと、より多くの回数をこなせ、握力の低下も小さく、バーの速度には差がありませんでした。
  • 2026年のレビュー(Martinsら):ストラップの研究をまとめた、探索的なレビュー(ナラティブレビュー)です。最大筋力や、握りの感覚には有利かもしれない一方、背中を引く種目では、一貫した効果は見られていません。デッドリフトでは、仕事量が増える可能性はあるものの、よく言われるのとは違って、筋肉の動員が増えるわけではなさそうとされています。長期の使用の効果は、科学的な根拠がなく、まだ仮説だと述べています。

じゃあ、今日からどうする?

ここから先は、研究の結論ではなく、研究を読んだうえでの私(運営者)の整理です。

  • 握力が制限要因になっていて、デッドリフトなどのセットを続けられないときに、セットを続けるための手段として検討できます。ただし、ストラップで背中や脚が、より使えるようになるとまでは、研究で示されていません(研究結果からの、私の実践的な推論です)。
  • 握力そのものを鍛えたい日は、使わない日を作る、といった使い分けも考えられます(これは私の整理で、研究で確かめたものではありません)。
  • どの商品が良いかは、この記事では取り上げません。種類、素材、価格は、体格や好みで変わります。
根拠が気になる人へ:研究の中身
  • 2021年の実験(Jukicら、男性16人):4セット×4回を、3条件(ストラップなし・80%1RM/ストラップあり・同じ重さ/ストラップあり・ストラップありの1RMの80%)で比べました。握力疲労は、ストラップありの2条件で、ストラップなしより小さく、握りの安定感とパワーの自覚も、ストラップありの2条件で高い結果でした。主観的なきつさは、「同じ重さ」の条件で、他の2条件より低くなりました。平均速度とピーク速度は、「同じ重さ」の条件で、他の2条件より高く、ストラップなしは、「重さを増やした」条件より高い結果でした[1]。
  • 2023年の実験(Traheyら、女性10人):ストラップを使うと、より多くの回数をこなせ、握力の低下も小さく、バーの速度には差がありませんでした[2]。
  • 2026年のレビュー(Martinsら):ストラップが、生理学的・力学的な影響、運動パフォーマンス、長期の適応、安全面に与える影響を整理した、探索的なナラティブレビューです。要旨では、最大筋力と握りの感覚が高まりうること、背中・プル系の種目では一貫した効果が見られないこと、デッドリフトの仕事量が増えうるが筋肉の動員は増えないようであること、長期の効果には科学的な根拠がないことが、述べられています[3]。

実際に使った感想と、商品の選び方は、握力が先に終わる人へ。パワーグリップの選び方にまとめています。

ちょっと注意(この記事の限界)

  • 2つの実験とも人数が少なく(16人と10人)、デッドリフトだけを対象にしています。
  • 短期の実験で、長期の筋肉の付き方を比べたものではありません。2026年のレビューも、長期の効果には根拠がないとしています。
  • 2026年のレビューは、体系的な統合研究(メタ分析)ではなく、探索的なナラティブレビューです。この記事では、要旨だけを確認しています。
  • 研究で調べられたストラップの形は、要旨からは確認できません。「パワーグリップ」に、そのまま当てはまるかは、分かりません。
  • この記事は、論文の要旨(概要)を確認して書いています。本文の隅々までは読んでいません。数字は、要旨に書かれていたものだけを使っています。

参考文献

  1. Jukic I, et al. Ergogenic effects of lifting straps on movement velocity, grip strength, perceived exertion and grip security during the deadlift exercise. Physiol Behav. 2021. DOI: 10.1016/j.physbeh.2020.113283. PubMed
  2. Trahey KM, et al. The Effect of Lifting Straps on Deadlift Performance in Females. J Strength Cond Res. 2023. DOI: 10.1519/JSC.0000000000004494. PubMed
  3. Martins R, et al. Are Lifting Straps a Game Changer for Resistance Training or an Overrated Tool? An Exploratory Review of Current Evidence and Future Research Directions. Int J Sports Physiol Perform. 2026. DOI: 10.1123/ijspp.2025-0296. PubMed